日経電子版、日経産業新聞と連動してイノベーティブな技術やベンチャーを深掘りする、動画配信サービス「Paravi(パラビ)」オリジナル番組の「日経TechLiveX」。PlusParaviでもテキストコンテンツとしてお届けする。

今回は、日経TechLiveXのゲストが夏休みに読むべき本を解説。AI研究の第一人者、松尾豊・東京大学特任准教授のおすすめはダン・ブラウン「オリジン」(KADOKAWA)。このほか、安田洋祐・大阪大学准教授、中村友哉アクセルスペース代表取締役・CEO、石田真康A.T.カーニープリンシパル、鎌田富久TomyK Ltd.代表取締役らがとっておきの1冊を紹介する。奥平和行日本経済新聞編集委員、瀧口友里奈日経CNBCキャスターらレギュラー陣の1冊も・・・。

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瀧口:こんにちは、日経CNBCキャスターの瀧口友里奈です。そして、私と共に司会進行していただくのは、日本経済新聞編集委員の奥平和行さんです。奥平さん、よろしくお願いします。

奥平:よろしくお願いします。

瀧口:この番組はこちらの日経産業新聞、日経電子版と連動して、革新的なテクノロジーや今後成長が見込まれるスタートアップ企業に迫る「日経TechLiveX」です。Paraviのオリジナルコンテンツとしてお届けしています。さて、早速ですが奥平さん。夏休みのご予定はいかがですか?

奥平:海外旅行とでも言いたいところですが、我が家は今、受験生を抱えておりますので、近場で過ごそうかなというところです。瀧口さんは?

瀧口:私は11月に夏休みを取る予定です。

奥平:それは夏休みと言うんですか(笑)?

瀧口:秋休みですかね(笑)。

奥平:このまったく夏休み感のない二人ですが、世間は夏休みということですので、今日は夏休みにお薦めの本についてご紹介したいと思います。時間がたっぷりある方は、ぜひ普段読めないような本を読むのもいい機会かと思います。

瀧口:外は暑いですから、おうちの中で涼みながら読書はいかがですか?というご提案です。ということで、今回は今までゲストに来ていただいた方々にお話を伺ったんですよね。

奥平:皆さんのお薦めの一冊を伺いましたので、ぜひ夏の読書プランの参考にしていただければと思います。

瀧口:どんな方がどんな本をお薦めするのか、注目しながらご覧ください。

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(松尾豊・東京大学特任准教授)

松尾:ダン・ブラウンの書いた「オリジン」(KADOKAWA)です。本の説明には「われわれはどこから来たのか、どこへ行くのか」と書かれていまして、人工知能と人間がどのような未来を創っていくのかという話につながるストーリー展開になっています。

「天使と悪魔」や「ダヴィンチ・コード」でも知られるダン・ブラウンですので非常にスリリングな展開で、しかも僕がいいなと思ったのは、人工知能の技術的な描写がかなりしっかりしていて、技術的な部分でも違和感はありませんでした。読んでいる時はワクワクして、読み終わった後はちょっと考えさせられる。しばらくこの本のことを考えてしまうような、そんな作品です。

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(安田洋祐・大阪大学准教授)

安田:歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリさんが書いた「サピエンス全史<上・下>」(河出書房新社)です。これは人類の壮大な歴史を幅広い視点から読み解いていくお話です。この中でハラリさんは3つの革命が起きたから人は動物からサピエンス、ヒトになることができたということを言っていて、その3つの革命がキーワードになっています。

一つ目は認知革命。これは先日の松尾先生との対談の中でも言及させていただきましたが、人というのは動物と違ってフィクションやストーリーのような概念上のものを共有することができる。それによってフェイス・トゥ・フェイスの近い集団だけではなく、物理的な限界を超えて幅広いグループを形成することができる。それによって例えば経済で言うとお金を通じた取引も可能になり、大きな経済圏も築くことができる。大きく経済にも影響しているのが、この認知革命ですね。

二つ目は農業革命。これはご存じだと思いますが、人々が農耕することによって定住することが可能になったということです。三つ目は科学革命です。私自身も大学におりますが、新しい科学技術を大学や企業が生み出すことによって、イノベーションを起こしていき、経済が成長していく。この彼が挙げた人類の三大革命というのは経済にも非常に関係している。これだけの壮大なテーマを面白く、目からウロコの視点で紡ぎ出す著者の力量には感服しました。夏休みに読むのは最適だと思いますので、ぜひ腰を据えてご覧ください。

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(石田真康・ATカーニープリンシパル)

石田:僕のお薦め図書は塩野七生さんの「海の都の物語」シリーズ(新潮社)です。塩野七生さんというと、ローマ帝国の一千年の歴史を書いた「ローマ人の物語」という長編大作が非常に有名ですが、この本はヴェネツィア共和国のお話です。この国は西暦5世紀頃にできて1700年頃にナポレオンが来てなくなってしまうんですが、この一千年の歴史を書いた本です。「ローマ人の物語」は量が多いので読むのが大変なのですが、これはハードカバーですと上下巻2冊で終わるので、夏休みにちょうど良いと思い、推薦しました。

ヴェネツィア共和国というのは実は非常に小さくて資源も領土もなかった国でした。日本も他の大国に比べると領土は小さいし、資源もない中で技術立国として頑張ってきた歴史がありますが、そんなヴェネツィアが後半の500年はいわゆる領土型の覇権国家の中で生きていくことになります。フランスもトルコもスペインもそれぞれ膨大な領土を持っていて、どんどん覇権主義で進出してくるんですが、その中でいかに中立性を保ったまま国として生き残っていくかという知恵がたくさん詰まっています。

非常に面白いのが、とてもリアリストなんですね。あまり理想を掲げないで、1個1個の問題に対して非常に現実的に対処していくという特性が強いのと、インテリジェンスに対してお金と人を投資する。情報をいかに人より早く取っていき、それを政策的な判断のために使っていくということが長けている国家だった。そういった生き残りの知恵というのが、実際の仕事で企業の戦略とか、日本人として日本の戦略等を考える時にヒントが多い本です。

瀧口:ありがとうございました。時代も場所も超えて冒険できるというのは夏休みならではですね。

奥平:壮大な物語が多かったですね。人類の来し方、ヴェネツィア人の栄枯盛衰等々、興味深く聞きました。

瀧口:AIのお話というのも松尾先生ならではですね。

奥平:今のお三方はどちらかと言うと過去を振り返るような壮大な物語が多かったのですが、次は休み明けに向けて充電したいという方向けの、ビジネス寄りのお話です。

瀧口:夏休み中もお仕事のことが気になる方、バージョンアップさせたい方々へ向けての推薦本です