奥平:この間、日本における競争環境、ライバルはどうでしたか?

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新田:2013年に(モバイルオーダーを)始めた頃は日本どころか世界でも一番早くて、世界で一番早いと言うと自慢になるように感じますが、まだ市場がなかったんですね。ですので2013年から2016年頃まではライバルもいませんでした。去年くらいからやっと、モバイルオーダーという名前が付いたサービスが出始めたくらいです。もちろん大手のIT系の会社で試行錯誤して同種の領域.でされているところもあったんですけど、それぞれお互い苦労してるね、という感じでしたから(笑)。競合というのは特にないです。ただここ1年くらいで結構(サービスが)増えたなという印象です。

奥平:時代の先を行っていたというのは、言い方としては美しいですけど、スタートアップとしてはある種、致命傷みたいなところもありますよね。

新田:致命傷ですね(笑)。

奥平:当然、途中で資金調達もしなくてはいけないし、実績もPRしないといけない。ただ実績はあまりないわけですよね。

新田:そうですね。おっしゃるとおり離れ業ですね。

奥平:現在、社員の方は何名くらいいらっしゃいますか?

新田:40名くらいです。

奥平:結構いらっしゃいますね。去年の今頃はどれくらいでしたか?

新田:去年の今頃は33、34名くらいです。

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奥平:ビジネスが本格的に離陸する前としては結構な人数ですから、(その人数の社員に)お給料も払わなければいけないわけですよね。

新田:そうですね。まさにスタートアップで言うところの資本金を燃やしているという状況で(笑)。株主に怒られてしまいますね。

奥平:預金通帳で言うと、残高が減っていくのを見て胃が痛むという世界ですよね。

新田:まさにそんな典型的な状況に耐える数年間でした。

奥平:どうしようもない質問ですが、やはり胃は痛むものですか。

新田:その状況に慣れてはいけないので、早く結果を出さなくてはと思いますが、新しい技術を作っているので、焦って短期的に稼ごうと別のことに流れてしまうと、それはそれで本来やりたかったことを投げ出すことになってしまう。そのバランスが難しかったですね。

特に日本はアメリカほど寛容じゃないというと言いすぎですが、調達資金の桁も少し違いますし。日本において新しいことを始めるのは、その理想と現実とのバランスが非常に難しいと感じました。

奥平:理想を追求する部分と、現実を回しながらやっていくという部分ですね。

新田:そうですね。

瀧口:それでもやはりモバイルオーダーペイに集中してやってこられたのは、必ずそういう時代が来ると思われたんですか?

新田:正直なところ、簡単に稼げる世界じゃないというのは作った瞬間から感じていました。他に収益源を探したりしながら試行錯誤してやっていましたが、何度か軸をずらしそうになった時に、外部のパートナーや周囲の方から応援されて、この世界をやるしかないと何度も引き戻されて、追求するために戻ってきたというのはありますね。

奥平:おそらくオーダーペイメントの前に、ポイントカードのアプリ化という流れがあったんで、そちらを受託して作っていく道というのはビジネスとして楽な道ですよね。

新田:正直そこをやっていると結構稼げるというのはありましたが、それだけをやってもスタートアップとしては意味がないというのはありました。

奥平:時々本当にやりたいのはモバイルオーダーだったと思い出して、そちらに集中するようなイメージですね。

瀧口:O:derの今後の中長期的な展望について伺いたいのですが、どのようにお考えですか?

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新田:昨年POSレジ業界最大手である東芝テックさんと資本業務提携をさせていただきました。従来課題となっていた既存の店舗システムの中に入ることを実現して、ようやくスタートラインに立てた状態かなと考えています。今後はインターネットだけだと店舗の中に入っていくのにどうしても限界があるので、例えばデジタルサイネージや、券売機を更に進化させた注文機のような様々なハードウエアと接続、連携させていき、商品ラインナップを増やしていこうと考えています。

奥平:東芝テックさん、国内でPOSレジのシェアナンバーワンですよね。世界でも大手ですね。

新田:そうですね。

奥平:巨大企業と(社員数)30人40人のスタートアップが組んだということですか。

瀧口:これは大きなことですね。

新田:そうですね。なかなかそういったパートナーシップが成立している例はほとんど初めてかなと思います。

瀧口:次回はその東芝テックの平等さんにもお越しいただきます。モバイルオーダーペイの現状と未来について、更なる議論を深めていきたいと思います。

新田さん、ありがとうございました。

新田:ありがとうございました。