奥平:以前、某大手のチェーン店が日本でもモバイルオーダーをするというニュースがあり、私は新田さんのお顔が思い浮かびましたが、他の国と比べて日本は今どういった状況でしょうか。

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新田:一番先行しているのがアメリカです。アメリカでは2015年秋くらいから、スターバックスの全米全店舗でモバイルオーダーができるようになりました。そこが牽引役となり、昨年にはマクドナルドも全店でモバイルオーダーできるようになり、アメリカではファストフードチェーン店の半数以上の店舗でモバイル注文ができる状況です。

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新田:一方で中国でもマクドナルド、ケンタッキー、その他多くの店舗でモバイル決済が非常に浸透している状況です。日本国内ではこちらのお店のように、よく使われている所も出てきてはいますが、まさにこれからチェーン店など、より多くの店舗で使われる段階に入っていくと思っています。

奥平:日本は米中に比べると多少遅れたという話ですが、それにはどんな理由があるのでしょうか。

新田:理由はいくつかあります。そもそもインターネットサービス自体を導入していくことに対して(日本人が)奥手だという側面があります。特に日本の店舗内システムは非常に作り込まれていてカスタマイズされた世界のため、なかなかすぐにインターネット接続をしたり、新しいものをつないだりすることが簡単にはできない状況でした。待たなくてよいという消費者側のニーズはアメリカや中国同様にあったと思いますが、実際にオペレーションに落としこむには時間がかかってしまったという印象です。

瀧口:今後、お店側が(モバイルオーダーを)導入する際の初期費用というのは、タブレットを導入すればいいということで、かなり安く抑えられるのでしょうか。

新田:そうですね。既存のシステムと合わせて作り込むとカスタマイズが必要ですが、タブレットを入れていくということであれば、シンプルに導入できるので、導入自体は短い期間とローコストで始められます。

奥平:以前、六本木のハンバーガー屋さんでモバイルオーダーの体験をさせていただいたのが3年くらい前だと記憶しているのですが、オーダー展開を開始したのはいつですか?

新田:導入実験を始めたのは2013年です。

奥平:では私が伺ったのは初期の頃だったんですね。

新田:そうですね。実地で落とし込んだ最初の店舗を奥平さんに体験していただきました。

奥平:今、2018年なので、それから5年くらい経ちまして、申し訳ないのですが、あまりその間、話を聞かなかったように思います。その間、何をされていたのでしょうか?

新田:地下に潜っていたというか(笑)。

奥平:地下活動ですか(笑)。

新田:やはりいろいろ検証した結果、iPadでライトに始めるという方法はあっても、大きな全国チェーンさんになってくると、やはり既存のPOSシステムが(あるので)。

奥平:重厚長大なものが構えていて、なかなか入っていけないと。

新田:(POSシステムは)勤退システムとレジがつながっていたりと、様々なカスタマイズをされているんですよね。

奥平:出勤簿と一緒になっているんですか。

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新田:大手でも小さな店舗さんでも、(モバイルオーダーは)魅力的なサービスなので提供したいというのは皆さん同じ意見ですが、やはり大きなシステムを入れるとなると、既存のシステムとのつなぎ込みが必須というのが分かりまして。その準備や開発を進めてきました。

奥平:営業で持っていくと「いいシステムですね」と言われるけど、実際に入れるとなると...っていうところですかね。

新田:そうですね。まさにそうです(笑)。

瀧口:そういった空気が変わった瞬間というのはいつ頃でしたか?

新田:2016年、2017年頃ですね。海外で浸透してきたということもありましたが、時を同じくして我々も旧来のPOSレジとの接続が実現しました。それが発表された頃から、アメリカや中国であるのは知っていたけど、日本でも本格的に自分たちの店で予約をできる時代が来たんだね、という、今までとは少し違った本気の商談が始まったというわけです(笑)

奥平:ある種、外の風も後押しになったと。

瀧口:先ほど(日本は)アメリカや中国からは遅れてしまっているとおっしゃっていましたが、年数で例えるとしたら、日本と米中ではどれくらいの差がありますか?

新田:短く見積もって、きっちり3年から4年は遅れているかと思いますね。

奥平:大きなシステムに阻まれてなかなか入れなかった中で、ブレークスルーの瞬間はあったんですか?

新田:2015年にアメリカのスターバックスが全店モバイルオーダーを始め、その後マクドナルドや大手チェーンも続きました。そこで日本のいろいろな企業や飲食チェーンの上層部の方がアメリカへ視察に行き、日本でもできないかと現場に落としてきました。

そういった問い合わせがこの時期急に増えてきて、アメリカで出始めたことがきっかけになったのかなと思います。そしてちょうど時を同じくして、僕らは既存のPOSシステムとも(モバイルオーダーを)つなげていますよ、と言えるようになったことですね。それがちょうど去年です。