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瀧口:ではその衛星を使ってどんなビジネスを展開されていくのかということが、次のテーマですね。『「鶴の群れ」はビジネスをどう変える?』というところに迫っていきたいと思います。中村さんは創業されて今年で10年目ということですね。

中村:8月で10年目ですね。

奥平:おめでとうございます。

瀧口:そんな中、GRUSは大本命ということで、これを使ってどんなビジネスに挑まれたいかというところを伺っていきたいと思いますが、ずばり、GRUSを使ってどんなビジネスを展開していきたいとお考えですか?

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中村:今までは衛星画像というのは画像を撮って、例えば政府に売るといったものが主流だったのですが、衛星画像の使える場面はもっといろいろあると思っています。先ほど農業の例を出しましたがそれだけではなくて、例えば都市計画をするための基礎的な情報であったり、地図を自動的に作るということもおそらくできるようになる。そういった意味で考えると、(衛星画像は)特定の産業のみにフォーカスするのではなく、あらゆる産業に使えるような基礎的なデータになると思います。

取得できるデータの量も非常に多く、年間数ペタバイトをどんどん蓄積していきます。いわゆるビックデータです。したがって、データプラットフォームのようなものを作っていきたいと考えております。

奥平:データを使う企業の立場で考えますと、自分で衛星を買うことなくデータを必要な時だけ買うことができるというモデルだと思いますが、10年前からもともとそういうイメージを思い描いていたのか、紆余曲折した結果そうなったのか、どちらですか。

中村:紆余曲折ですね(笑)。我々が衛星ビジネスを始めた理由というのは私自身が大学時代、手作りの人工衛星を作っていたことが大きいのですが、当時は自分たちが作った衛星をお客さんに使ってもらう受託のモデルがベースでした。しかしながら、やはり衛星を持つというのは、いくらコストが100分の一になったとはいえ数億円はかかりますし、打ち上げにも数億円かかるというと、普通はなかなかリスクを負うことができません。もともと宇宙の価値というものは存在しますし、自分で所有するリスクを取り除いて、リスクフリーで使えるような環境を作ればもっと(衛星が)普及するだろうと思って始めたのが、GRUSを利用するビジネスになります。

瀧口:石田さんはこのGRUSについて、他にどんなビジネスに活用できると思いますか?

石田:衛星自体が変わってくるというお話がこれまでありましたが、もう一つ大きいのが画像を解析する技術が大変進化していることです。これまでは人が画像を見て分析していましたが、今は人工知能が非常に進化しています。先ほど車がギリギリ見えますというお話もありましたが、実際衛星画像から車の数を数えるサービスも商用化されています。他にもビルの数を数えたり。石油備蓄タンクの蓋の高さを推計してオイルの残量を推計するサービスなども始まっています。

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石田:これは農業ですよね。

瀧口:これはどういった写真ですか、中村さん。

中村:これはサウジアラビアの円形農場ですね。

奥平:丸い所は全て作物が植えられているわけですか。

中村:小さく見えますが半径数キロあるような農場になります。こういったところを日々地上から見るというのはほとんど無理ですよね。これを宇宙から毎日見ることによって、この畑の作物は生育が進んでいるけど、あっちはそうでもない、というような情報が非常に低コストで手に入るということになりますので、これまでできなかった効率的な農業ができるようになるのかと思います。

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中村:これは収穫時期を確認する画像ですね。

奥平:先ほどおっしゃった最適な時期に刈り取れるということですね。

瀧口:「HERVEST READY」と書かれている箇所は収穫準備ができているということですね。

中村:はい。これは一例ですけど、これを参考に今日はここを収穫しようということになります。

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奥平:こちらは。

中村:これはあるピクセルに何が写っているかを自動的に分類しています。先ほどAIの自動解析を使うというお話ありましたが、最近ではディープラーニングという技術が出てきまして、自動で画像の解析ができるようになってきています。

これは雲と氷を見分ける技術です。雲と氷はどちらも白いので見分けることが大変難しいのですが、パターンを学習することによって自動で見分けることができるようになってきています。雲と氷が見分けられてもあまりビジネスにならないと思われるかもしれませんが、同じ手法を使って都市部(の画像)に適用しますと、住宅と商業施設と道が自動に分類されて、地図が自動でできる。そういった可能性にもつながる技術ですから、研究開発を続けています。

瀧口:利用法が無限大という気がしますね。

奥平:お話を伺っているとAIや画像認識と非常に相性が良いですね。今はがん治療などもMRIやCTをAIで見るというお話もありますが、虫の眼で見ればがん治療になって、鳥の眼で見ると衛星の利用になってというように、同じような画像認識の技術がビジネスなどを変えていくのかなという印象ですね。

瀧口:ありがとうございました。前半はここまでとなります。さて後半は、
『宇宙ビジネスビッグバン!スタートアップが起こす革命』、今まさに百花繚乱の宇宙ベンチャーの今をお伝えします。どうぞお楽しみに。