瀧口:それでは衛星が実際にどんなところで作られているのか、アクセルスペースの本社を取材させていただきましたので、ご覧いただきたいと思います。まず、日本橋と出てきましたが、会社が日本橋にあるんですか?

中村:そうですね。日本橋にオフィスがあります。

瀧口:いつから日本橋にいらっしゃるんですか?

中村:去年の7月に引っ越してきました。

瀧口:なぜ移転されたんですか?

中村:移転したのは人数が増えてきてオフィスが手狭になってきたこともありますが、同時に人工衛星を作るにあたり、必要な環境条件がありました。例えば天井が高いとか。

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瀧口:天井が高いですね。これはエレベーターですね。

奥平:これで運ぶわけですか。

中村:衛星を台車にのせて運ぶので、運搬がしやすいことも非常に大事です。ですので、エレベーターの幅が十分あるかなどの要件がいろいろありまして、なかなかマッチする物件がなかったのですが、今回新しく作ったオフィスに入れることになりました。要件も大体満たされて我々としては満足いくオフィスができたと思います。

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瀧口:今、外国人の方が多くいらっしゃいましたが。

中村:そうですね。

奥平:(外国人の社員は)どれくらいいらっしゃいますか

中村:社員全体61名のうち16名が外国人ですね。エンジニアは約40名ですから、エンジニアだけで言うと半分弱が外国人になります。

瀧口:外国人を採用するうえでも日本橋というのは何か意味があるんですか?

中村:日本橋というより都心で人工衛星を作っているということが。

奥平:おおって思いますよね(笑)。

中村:大型の物を作るとなると郊外に作りがちですが、働く人の環境ややりがいなど、仕事だけではなく生活面も考えると都心にオフィスがあった方が効果的だと感じています。

瀧口:こんな都心で衛星を作っているというのは誰も知らないですよね。

中村:おそらく世界で一番、都心で衛星を作っている会社だと思いますね(笑)。

奥平:衛星というとNASAみたいに大きな体育館のような所で作っていると思っていましたが、随分印象変わりますね。

中村:まさに工場のようなところで作っているのが一般的なイメージだと思います。我々エンジニアが働いている普通のオフィスの2階に衛星を組み立てるクリーンルームもありますので、全て一つのビルで完結しています。

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奥平:こちらが持ってきていただいた模型の倍のサイズのものということですか。

中村:これはこの模型の衛星とは別物になりますが、(この模型の衛星の)実物大はこのサイズになりますね。

奥平:たしかに冷蔵庫、洗濯機という感じですね。

瀧口:これがクリーンルームですか。

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中村:はい、白いクリーンウェアを着ています。衛星は埃が苦手で、望遠鏡のレンズに埃がついてしまうと困りますし、打ち上げた後に埃が浮かんで電気回路がショートしてしまうこともありますので、できるだけ埃の少ない環境で組み立て試験を行っています。

瀧口:(衛星)一つを作るのにどれくらい期間がかかりますか?

中村:組み立てという意味では数日ですね。

奥平:部品を組み合わせると数日でできてしまうということですか。

中村:なるべく簡単に組み立てられるような設計を心がけています。大きな物だとどうしても何週間もかかってしまうこともあるのですが、なるべくシンプルに作るようにしています。

奥平:非常にカジュアルと言うか、もっと重厚長大なものを想像していましたので、軽薄短小は言い過ぎですが、やればできそうと思わせる印象でした。石田さんはいかがですか? プロの眼から見て。

石田:実際そうですよね。私も大型衛星を組み立てる現場を見たことがありますが、もっと天井も高く、場所も大きいいわゆる工場というようなところでした。(アクセルスペースは)衛星もそれを作る場所自体もコンパクトですね。

奥平:サイズが変わることによって作り方も開発コストも変わりますし、いろいろなところに響いてビジネスの広がりが出てくるという印象ですね。

石田:そう思います。

瀧口:先ほどのクリーンルームでは、部品を様々な場所から調達して、組み立て作業をそこで行っているのでしょうか。

中村:主には組み立てと試験もあります。実際にあそこではんだ付けしたりとか、アルミを削ったりすることはないですね。

奥平:ちょっと違うかもしれませんが、ドローンの世界で言うとスマートフォンの影響が大きくて、それによって半導体やセンサーの性能が上がってコストが下がったことが、ドローン産業を後押ししたというお話があります。衛星の場合はそう言った民間、市販の部品を使えるものなんでしょうか。

中村:我々は地上の最先端の技術を取り入れておりまして、エレクトロニクスも例外ではありません。半導体などは最新のトレンドを常にチェックしています。もちろん試験が必要ですが、良いと思ったものは積極的に取り入れるようにしています。

宇宙では電力など制約が厳しいですから、低電力で高性能を実現できるようなものが大事になります。地上の技術は日々進化していますから、我々もそれをいかに宇宙に持って行くことができるかを考えています。