日経電子版、日経産業新聞と連動してイノベーティブな技術やベンチャーを深掘りする、動画配信サービス「Paravi(パラビ)」オリジナル番組の「日経TechLiveX」。PlusParaviでもテキストコンテンツとしてお届けする。
日本の宇宙ビジネスの最前線を走るスタートアップ、アクセルスペースCEOの中村友哉さんがゲスト。東京・日本橋という都心で衛星を開発、世界進出を狙う戦略を聞く。民間宇宙ビジネスカンファレンス「SPACETIDE」を主宰するA.T.カンパニーのプリンシパル、石田真康さんも議論に加わる。
瀧口:こんにちは。日経CNBCキャスターの瀧口友里奈です。そして、私と一緒に番組を進行していただくのは、日本経済新聞編集委員の奥平和行さんです。奥平さん、よろしくお願いします。
奥平:よろしくお願いします。
瀧口:この番組はこちらの日経産業新聞、日経電子版と連動して、革新的なテクノロジーや今後成長が見込まれるスタートアップ企業に迫る「日経TechLiveX」です。こちらは、Paraviオリジナルコンテンツとしてお届けしています。さて今回は、『宇宙ビジネスビッグバン!スタートアップが起こす革命とは?』と題してお届けします。
奥平:今年、2018年は宇宙ビジネスの分野で節目の年になるかもしれないと言われております。イーロン・マスクさんはご存知ですよね。
瀧口:はい。テスラのCEOですね。
奥平:彼はスペースXという会社もやっているのですが、初めて有人宇宙船の打ち上げを計画しているという話があります。日本でもこの分野のスタートアップの活動が非常に活発になっていますので、世界で競っていけるかどうか。その辺りのお話を伺っていきたいと思います。
瀧口:それでは早速、今回のゲストをご紹介させていただきます。まずは日本の宇宙ビジネスの最前線を走るスタートアップ企業、アクセルスペース代表取締役CEO、中村友哉さんです。アクセルスペースは超小型衛星の分野で世界をもリードする存在です。今日は興味深いお話をたっぷりと伺っていきたいと思います。中村さん、よろしくお願いします。
中村:よろしくお願いします。
瀧口:そしてもうお一方です。A.T.カーニーのプリンシパルで宇宙ビジネスの最前線に詳しい石田真康さんです。民間宇宙ビジネスカンファレンスのSPACETIDE(スペースタイド)を主催するほか、内閣府の宇宙政策委員会で委員を務めていらっしゃいます。石田さんどうぞよろしくお願いします。
石田:よろしくお願いします。
瀧口:番組の前半は主に中村さんの超小型衛星ビジネスについて伺っていきたいと思いますが、キーワードに沿ってお届けしていきたいと思います。まず始めのキーワードはこちら。『地上を見つめる「鶴の群れ」とは?』ということですが、まず気になりますのであちらから紹介しましょうか。
奥平:(こちらに)訴えかけているような模型がありますが、名前はGRUSと言うのですか。
中村:はい、そうです。
奥平:これはどういうものか教えていただけますか?
中村:これはご覧のとおり人工衛星です。ここに大きな望遠鏡がついていて、こちらが地球方向です。地球を観測するための人工衛星ということになります。
中村:スライドに映っていますように、1個だけ打ち上げるわけではなく、たくさん打ち上げていく。エベレストの上を鶴の群れが飛んでいくのはご覧になったことがあると思いますが、それをイメージして、この衛星がお互いに協調しながら一つのサービスを提供していくという意味を込めてGRUSという名前を付けました。
奥平:(GRUSは)つる座という意味ですね。
瀧口:衛星の中に望遠鏡が入っているんですね。
中村:はい。これが実際の眼です。
奥平:衛星というと非常に大きいものを想像していました。これは二分の一スケールとなっていますから、この倍の大きさが飛んでいるということですか?
中村:そうですね。小型の冷蔵庫くらいの大きさです。
奥平:なるほど。分かりやすい(笑)。
瀧口:そう思うと本当に小さいですね。
奥平:これで何をしようとしているのかという話ですが、何ができるんですか?
中村:これまでも地球を観測する衛星はたくさんあったのですが。
奥平:気象衛星などですね。
中村:そうですね。気象もあるのですが、例えばどこかの国のミサイル基地を見たり。
奥平:なかなか生々しいですね(笑)。
中村:この衛星は、通常よりたくさんあることによって世界中を毎日見ることができます。例えばグーグルアースを見ていただくと、更新頻度は1年に1回くらいです。毎日見ることができることによって、地上におけるちょっとした変化を見つけることができる。それが我々が提供できる新しい価値だと考えています。
瀧口:毎日宇宙から地球の好きな場所を観測できるということですか?
中村:好きな場所というか、全部の場所を見ています。