瀧口:山浦さん、どうもありがとうございました。では次の方よろしくお願いいたします。お名前をお願いします。
北川:WOTA株式会社の北川と申します。
瀧口:では北川さんにも1分間でご紹介をお願いしたいと思います。
北川:WOTA株式会社です。名前のとおり水のスタートアップをしております。我々が開発しているのではRAINBOXという水再生装置です。これは非常に小型で各家庭に置くようなイメージの商品です。宇宙船の水循環システムのようなものを各家庭に入れていきたいと考えております。
北川:具体的にはその場で使った排水を綺麗にして、改めて何度も使えるようにします。その装置をシャワーや洗濯機やトイレに埋め込むことで、ずっと同じ水を使えるようにする。上下水道のような水インフラがなくても、水を各家庭で使い続けることができるように進めています。実際に、先進国では災害時やアウトドア、また未来の話として進めており、新興国では新しいインフラとして活用できるようお話させていただいております。
瀧口:1分経過です。
北川:元々人は以前から水のそばで暮らしてきましたが、個人が自由に水を使っていける未来を目指しています。すみません、少しオーバーしてしまいました。
瀧口:ありがとうございました。
奥平:水問題というのは実は世界的にも非常に大きな課題で、水不足という問題もあります。サウス・バイ・サウスウエストの反応はいかがでしたか?
瀧口:サウス・バイ・サウスウエストの後に米国の大手メディアからいくつかインタビューを受けたり、中東の大使館やアメリカの大使、またヨーロッパ各国からも問い合わせをいただいたりしました。国レベルから現場レベルまで興味を持っていただいております。
奥平:宇宙船のお話もありましたが、このような技術というのは高いコストをかければできますけど、既存の技術との(コスト面での)差別化要因はどこにあるのでしょうか。
北川:今まで水は非常に高い技術を使ってきたのですが、中国やインドを含めて水問題が大きくなってきた時に、素材がどんどん安くなってきていました。我々はそれを制御するソフトウェアの部分を作っていて、いかにそのソフトで安価になった素材を最適かつ安全に使うかということでコストダウンをはかっています。
奥平:ソフトとハードの組み合わせということですね。
北川:そうですね。
瀧口:初めに水に着目したのはどういったきっかけだったのでしょうか?
北川:高校生の時から世界で仕事が出来て、かつ人の役に立つような仕事をしたいと考えていました。そこで21世紀の大きな課題は何だろうと考えた時に、水というのは生物全てに関わってくるということに気付き、興味を持ったのはここからになります。
瀧口:実際に情熱を持って起業されたと思いますが、親御さんや周りの方の反応はいかがでしたか。
奥平:北川さんはもう卒業されていますか?
北川:はい。博士課程在学中に起業しました。
奥平:ではそのまま就職はなさらずに、今に至るということですね。
北川:そうですね。
奥平:それこそ東大まで出たのになんでお勤めしないのか、という考えは古いですかね。
北川:私の両親は私が高校生の時から水に関して何かやりたいと言っていたこと、それに合わせて進路を決めたことを知っていますので、起業に関して驚くことはありませんでした。
瀧口:北川さん、ありがとうございました。
奥平:お話を伺いますと、今回は相当選りすぐりの方々を呼んでいただいたと思いますが、水や自動車開発や福祉系など、随分間口が広がっている印象を受けました。これは最近の特徴ですか?
鎌田:そうですね。今のプレゼンでもあったように、今まで解決できなかった様々な産業課題をテクノロジーで解決するという、ちょっとしたワクワク感が出てきています。日本は少子高齢化や医療、環境エネルギーなど多くの問題がありますから、そういった課題をスタートアップがテクノロジーで解決できるように進めていきたいですね。
奥平:水については国際的に通用する可能性がありますね。極端に言うと水道代が0になるということですよね。
鎌田:サイクルによって(水を)使い続けられる可能性を秘めていますね。
奥平:ただ、卵があって、それがかえって親鳥になって羽ばたくまでには相当ステップがあると思います。ギャップを埋めていくために今後何が必要になりますか?
鎌田:やはりスタートアップを社会が支えていく、みんなで応援するということが重要になります。時間もかかりますし、大企業のサポートも必要です。みんなで支えて大きな成功を作っていくということだと思いますね。
瀧口:菅原さんは、さらにこの輪を盛り上げていくためには、どうすればよいかとお考えですか?
菅原:スタートアップというキャリアに対しての考え方が受容されるという環境が重要だと思います。今回の高木さんはもしかしたら起業しないかもしれません。でもスタートアップをしたこの経験は必ず何かに生きてくる。スタートアップをせずに企業に就職した時にも活躍できますし、その後また起業するかもしれません。
イクシーの山浦さんは一度企業に就職した後に、スタートアップをされていますので、そういったキャリアも今後当たり前になっていくかもしれない。北川さんに関しては本当にずっと昔からやりたいと思っていたことを研究し続けて、就職しないで起業しましたが、それでもOKと言ってもらえる環境にあった。このようにキャリアに関する考え方が変わることが非常に重要だと思います。
奥平:東大発スタートアップ観が相当変わったというのが今回の正直な感想です。一時、日本はダメだという悲観論が世の中を覆っていましたが、最近はクールジャパンというように、日本はイケているという考え方も出てきました。過剰な「日本すごい論」には与したくないのですが、実際にそこを目指して世界に出て行こうという話を伺ったのは、非常に勇気づけられる気がしました。
瀧口:ありがとうございました。せっかくなので最後プレゼンしていただいたお三方にも入っていただきたいと思います。ありがとうございました。鎌田さん、菅原さん、そして今日お越しいただいたお三方、ありがとうございました。
次回はスマホで事前注文や無人決済を実現し、小売りや飲食業界に新風を巻き起こしているShowcase Gigの代表、新田剛史さんをお招きして、「注文、決済、お店の人手不足をデジタルで解決」をお送りしたいと思います。次回もお楽しみに。