瀧口:それでは実際に菅原さんが支援されているプロジェクト、「サウス・バイ・サウスウエスト」に行かれた三人の起業家の方をお招きしております。ではお一人目の方、お名前をお願いします。
高木:東京大学工学部4年の高木健と申します。よろしくお願いします。
瀧口:よろしくお願いします。
奥平:ここからはちょっとした趣向があるということですが。
瀧口:ここにストップウォッチがありますので、1分間でどういった製品を作っていらっしゃるか、事業内容について説明していただきたいと思います。
奥平:ピッチコンテスト風ですね。
瀧口:こちらで1分間です。よろしくお願いします。
高木:私たちが開発しているのはasEarsという片耳難聴の方向けの眼鏡型デバイスです。片耳難聴者は、アメリカには2000万人いると言われていて、私も片耳難聴の一人です。片耳難聴者がどういう課題を抱えているかと申し上げますと、騒がしい場所で聞きたい人の声が聞きづらいということがあります。
これに対応するため補聴器があるのですが、補聴器はご存知の通りユニークな形をしていたり、付け外しが煩わしいという問題があったりします。それらを全て解決したいという思いでasEarsというプロジェクトを始めました。この製品は聞こえない側の音を拾って、その音を聞こえる側の耳に伝えるというものです。自分自身が片耳難聴の当事者の一人であるということで、高いモチベーションとスピードを持って開発を進めております。
瀧口:ありがとうございます。1分5秒。
奥平:1分ですと、情報量が結構ありますね。
瀧口:1分って意外と長いですね。
奥平:実際に(米国の大規模イベントである)サウス・バイ・サウスウエストでも短い時間でプレゼンをされたのでしょうか?
高木:そうですね。その時は100人くらいの前で3分間のプロダクトのピッチをさせていただきました。
菅原:英語で行いました。
奥平:今その基本的なことを聞こうとしていましたが(笑)。やはり英語で。それまでそういった(ピッチの)ご経験はありましたか?
高木:ピッチ自体を英語で行うのはほとんど初めてのことでした。何度か練習として「Todai To Texas」の審査会で行いましたが、実際に大勢の前で英語でピッチをするのは初めての経験でした。
奥平:実際の反応はいかがでしたか?
高木:プレゼンを聞いていただいた方で、ARグラスを作っている会社の方から、この音の技術で自分たちのARグラスと提携できないか、というお話をいただきました。
奥平:実際のビジネスの展開につながっていきそうだということですね。
高木:そうですね。
奥平:(asEarsを)必要としている人の割合は、日本と世界で違いますか?
高木:それに関してはあまり差異はないと考えております。
奥平:では人口が多い分だけアメリカの方が可能性は大きいと。
高木:その可能性はあると思います。
奥平:まだ会社を作られていないと伺いましたが、今後はどのような進路を考えていますか?
高木:今後のプロダクトの進路としましては、起業しない段階でもお金を菅原先生のプログラムから受けていき、ユーザーのテストをしながら、本当に世の中の人がこれを必要としているかを検証して、見極めつつ起業を考えていこうと思っています。
奥平:一応考えられているんですね。
高木:そうですね。
瀧口:ちなみにその眼鏡の色はどうして赤にしたんですか?派手だなと思って見ていました(笑)。
高木:実は展示会には他の色も合わせて10個くらい持って行ったのですが、今日用意ができたのがこれだけということです(笑)。
奥平:ちなみにこちらは3Dプリンターで作られたのでしょうか?
高木:そうですね。
奥平:以前だったら金型を起こさないといけないところが、3Dプリンターで出来るという部分でも、おっしゃっていたように(スタートアップの)ハードルが下がっているんですね。
鎌田:そうですね。テックガレージという所でそういった設備も東大で作っています。
奥平:前編で伺ったテックガレージですね。あちらを使っていらっしゃると。
高木:そうですね。そこと研究室の設備を使わせていただいています。お金の面も気にしなくてはいけないのですが、大学がバックにいると早い段階ではお金のことを気にせずに、自分の課題に集中して取り組むことができると思っています。
瀧口:高木さん、ありがとうございました。
高木:ありがとうございました。