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(人工知能に関連する国際ベンチマークのデータ)

奥平:これはどう見ればいいんですか?

瀧口:「人工知能に関連する国際ベンチマーク」ということですが、これはAI関連分野のTOP1%の論文(に占める割合)です。一番上ですね。日本はおよそ2%。たった2%、という言い方で良いのでしょうか。

松尾:大体IT系の国際会議に出るとこんなものです。10年以上前からこのような感じですね。元は10%くらいだったのがだんだん落ちてきて5%、2%と。

奥平:(日本は人工知能分野において)世界での存在感として大体50分の1と思っておけばいいということですかね。残念ながら現在地としては。

瀧口:(日本の存在感は)徐々に落ちてきているということですか。

松尾:やはり国内の問題があるんです。研究者が研究に集中できないとか、ITの巨大な企業が立ち上がらないなど、いろいろな問題があります。

奥平:下が社会実装でAIのビジネス導入率。北米が5割近く。これだけ私たちがAI、AIと言っていても、日本は2割もないのですか。

松尾:僕は一口にAIといっても、本当に革新的なのはディープラーニングだと思っています。それについても米国、中国のベンチャーはディープラーニングを使った新しい事業をどんどん生み出しているのに対して、日本はディープラーニングを取り入れているところも少ない状況ですね。

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安田:一言で言うと、日本はヤバイ状況ということでしょうか。

松尾:基本的に(この状況で競うのは)無理ですね(笑)。

瀧口:無理ですか。

松尾:やはり何でも一緒ですが、客観的な戦況をきちんと理解しない限りは、どうやっても勝ち筋は見えてこないですから。客観的な状況として、どうやっても(日本は)勝てない。考えてみれば、ここ20年、日本はインターネットの世界で何か世界に通用するものを作れましたか、というとないですよね。例えば我々が今iPhoneを使って、グーグルで検索して、Facebook、Twitterをしていますが、これは全部米国の企業です。そしてAmazonで買い物をして・・・これも便利ですけどやはり米国ですね。同じような企業が中国にはテンセント、アリババ、バイドゥとあります。そちらはそちらでまたすごく巨大な産業になってきていますが、日本は基本的に単なるユーザーです。そういったことを考えると基本的に勝てない。

瀧口:(日本は)市場になっているということですね。

奥平:草刈り場状態ですね。

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松尾:その状況をふまえた上でどういう手があるのか、ということですね。

瀧口:プラットフォームはアメリカなどに抑えられている状況ということでしょうか。

松尾:ええ。そもそも(日本は)半導体などは非常に有利な状況にありました。ところがGPU(画像処理半導体)はNVIDIA(エヌビディア)というところが非常に伸びていますし、家電やスマホも有利な状況にあったにもかかわらず、負けが込んでいるわけです。

奥平:グローバルで見ると、結局は(スマホは)Appleかサムスンかファーウェイという状況ですね。

松尾:ですから有利な状況を守ることすら難しいということが、僕は今の日本の実力だと思っています。そして新しく出てくる有望な領域をこちらから攻めて取るという力は(今の日本には)基本的には無い。まずはそのことを客観的な情報として持っておかないといけないと思います。