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<手厚い支援>

菅原:私の活動は、産学協創推進本部の中のスタートアップ支援の一環なんですが、大きく分けると、実際にベンチャーができるところの経営支援と、そういった将来的なスタートアップを生むための教育活動、その二つに分かれます。教育活動は実は14、15年やっておりまして、もちろん、インキュベーション支援も14、15年やっているんですが、最初はこのアントレプレナー道場だけで始まりました。基本的には座学です。

それが、だんだんと学年も輪が広がりまして。特に理工系の学生というのは、自分でモノを作れるわけですよね。そうすると、実際に技術を持っている学生のためのプロダクトを試作するような、そういった支援プログラムというのを我々の方で用意するようになりました。象徴的なのは「本郷テックガレージ」です。場所は非公開なんですけれども。

奥平:コンクリート打ちっぱなしでかっこいい建物ですね。

菅原:こちらはアントレプレナープラザになりますね。こちら、ベンチャーさんが、実際にスタートアップが入居している建物で、そこには常時20~30社ぐらいのスタートアップが入っています。鎌田さんの支援先もあります。

<成長する本郷バレー>

奥平:最近、本郷バレーなんていうスタートアップ集積地という言葉がありますが、まさにこういうのを拝見していると、集まってはきているんだなあという印象を受けますね。

菅原:そうですね。立地的には、実はバレーではないんですけれども(笑)。

奥平:五反田もバレーって呼んでますから、呼べばなんでも(笑)。

菅原:要素としては、我々のインキュベーション施設があることによって、スタートアップが集積すること、それプラス、キャンパスの外にも、東京大学の卒業生を中心として、かなりの数のテックスタートアップというものが集積しているんですね。それが一種のクラスターになっていて、起業家同志のネットワークができている。それを見た支援者の方々も、これはベンチャーキャピタルも含めてですが、本郷に集まりつつあるというのが、この本郷バレーと呼ばれている現象です。

瀧口:この先に菅原さんが目指していらっしゃる理想像というのはどういうものですか?

菅原:我々、先行しているような海外、アメリカを含めてですが、大学周りのイノベーション環境というものをベンチマークにしておりますので、それこそスタンフォード大学、MIT、ハーバード大学のような、そういった大学を中心として、学生卒業生も含めて、どんどんとスタートアップを、大学の研究成果を使って生み出していく。そういったエコシステムをもっと強化したいなと思っています。

奥平:いわゆる、スタンフォードで言うと、シリコンバレーのパロアルトですとか、MITだとボストン、そんなイメージを持っていらっしゃる?

菅原:そうですね、まだまだスケールは及ばないですが、今後伍していきたいと思っています。

奥平:今まさにスケールというお話をされましたけど、私もシリコンバレー駐在をした経験で申し上げると、ものすごい勢いで会社が起きていて、例えばベンチャー投資の規模なんかにしても日本は80分の1みたいな数字がありましたけど、正直、彼我の差はまだ相当大きいなと感じました。やはり日本だとまだ、いろんなスタートアップを大きくしていく障害があるんじゃないかと思うんですが、その辺りを鎌田さんはどうご覧になっていますか?

鎌田:もちろん、アメリカと比べたり、中国と比べたりするとまだまだ小さいと思うんですが、日本のような先進国のスタートアップというのが、社会課題を解決して、新たな価値を作っていこうというような、新たなスタートアップ像が出てきているので、かなり面白いかなと思うんですね。

課題となるのは、やはり、やる人を増やすというところ。ここは、一番の気持ちの問題と言いますか、就職しないでスタートアップをするというと、規定のレールを外れる感が半端ないんですね。そのプレッシャーに勝たなければいけないというのがあって、周りに増えてくると普通のことになるんですよね。だから、最初に始める人たちって、そういうプレッシャーの中を突き抜けていかないといけないので、そこは課題なんですけど、我々が応援をして、支えて、そういうのを増やしていきたいなというところですね。

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<東大から世界へ>

瀧口:東大生から起業をして、世界に羽ばたいてほしいという思いなどもあるんですか?

鎌田:ぜひグローバルに成功してもらいたいと思っていまして、東大の中でもサウス・バイ・サウスウエストみたいな世界のイベントで。

奥平:テキサスのあれは、芸術イベントであり、音楽イベント、映画イベントであり、最近はスタートアップイベント?

鎌田:テクノロジーイベント。それに東大生を連れて行くっていう「東大to テキサス」というプロジェクトがありまして。そういうのでいきなり世界に出ていくということも応援しているという感じになります。

奥平:(写真を見て)こちらは今年の模様ですか?プレゼンされている方がいらっしゃったりだとか。

瀧口:大勢が周りに集まっていますね。行けるのは何チームぐらいなんですか?

鎌田:今年は7チームを選考させていただきました。

瀧口:本当にいい経験になりますよね。

奥平:それこそ昔の話ばかりして恐縮ですけれども、スタートアップがなければそれでテキサスに行こうなんて大それたこともなくて、ずいぶん変わったんだなあという月並みな感想で恐縮ですけれども。

瀧口:本当にすごいですね。そして、このテキサスのサウス・バイ・サウスウエストに実際に行った学生さんたちにも後編ではご一緒していただきます。ということで、実際に起業にチャレンジしている学生の生の声はどんなものなのか、楽しみです。さらに掘り下げていきたいと思います。
鎌田さん、菅原さん、どうもありがとうございました。