奥平:とういことで、今回のテーマは東大。早速ですが、こちらを見ていただきたいんですけれども(書籍の紹介)。「テクノロジー・スタートアップが未来を創る」という、鎌田さんが書かれた本で、聞くところによると東京大学出版会からスタートアップの本が出るのは今回が初めてということでよろしいんでしょうか?

鎌田:そうですね、初めてですね。

奥平:これはどういう経緯でお書きになられたんですか?

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<増加するテクノロジー・スタートアップ>

鎌田:はい、ありがとうございます。この5年ぐらい、実はテクノロジー・スタートアップの支援をやっておりまして。テクノロジー・スタートアップというのは、テクノロジーとかサイエンスをベースに、大きなイノベーションを起こそうという、そういうベンチャーです。実際、今20社ぐらい支援しているんですが、ロボットや人工衛星、そういったディープなテクノロジーをベースにスタートアップを起こすと。

実際、そういうのを支援してみると、東大生なかなかやるじゃないかと、世界でも結構戦えるということを実感しまして、これをみんなに知らしめたいということと、東大生のみならず、多くのテクノロジー、それからサイエンティストを目指してほしいという思いで書かせていただきました。

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奥平:少し具体的な事例を。こちら(画面)に出てきましたね。

鎌田:本の中でもいくつか紹介をしているんですけれども、これはヒューマノイドのロボットをやるベンチャーでして、「SCHAFT(シャフト)」(2012年5月設立)。2012年にできたスタートアップです。2011年に、地震がありましたよね。あの時、日本のロボットが活躍できなかったということがありまして、これではダメだと立ち上がった東大の3人の研究者が作ったスタートアップになります。

奥平:この会社は、そのあとちょっとおもしろいM&Aもありましたよね。

鎌田:米国のDARPAのコンテストで優勝しまして、そこで大変注目も浴びたんですが、Googleが買収したいということで、Googleの傘下に入りました。実は昨年、ソフトバンクさんが、Google、アルファベットから買収したということで、今はソフトバンクの中にいるんですけれども。

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奥平:(画面切り替わり)あっ、オバマ前大統領と一緒に(撮った写真がありますね)。

鎌田:これは、最初にオバマ前大統領が日本に来た時に、おもしろいベンチャーがあるからぜひ会いたいと、突然セットアップされた時のものです。あまりに急にセットアップされたので、社長の中西がスーツを買いに行く暇がなかったという(笑)。

瀧口:え~!そうだったんですか(笑)。だからこの格好だったんですね。

奥平:もう一つ、人工衛星のAXELSPACEという小型人工衛星のベンチャーでして、これも東大の中須賀先生という有名な宇宙工学の先生のところのメンバーが中心となって作ったスタートアップというものですね。ここは、小型の人工衛星を50機打ち上げて、地球を毎日観測するという構想を掲げていまして、大きな資金調達もして、これからどんどん進めていこうというところです。

奥平:今、資金調達額はどれぐらいですか?

鎌田:約20億円ぐらいですね。これからさらに進めていこうというところです。こういう宇宙から地球を毎日撮るということで、例えば、農業の観測や、自然災害の予測など、いろんなことに使えるということが分かっていまして。今まではどうしても人工衛星を作るのに費用がかかってしまい、なかなか大変だった部分を、イノベーションで安く小さく作ると。そういうのを実現したスタートアップになりますね。

<ソフトウェアベンチャーの先駆け>

鎌田:(画面切り替わり)これは3つ目になるんですが、ちょっとユニークな技術でして、インクジェットプリンターというものがあるんですが、それで電子回路を印刷しちゃうという技術なんですね。(プリンテッド・エレクトロニクス)
電子回路というと、あの緑の基盤がいろんな電子機器に入っていますが、それを印刷技術で作っちゃおうと。そうすると、安く早くできることになり、ものづくりにイノベーションを起こせる。ということで、非常に注目されているスタートアップです。
これ全部3つとも東大発なんですけれども、テクノロジーをベースにして、世界を変えていこうというものです。

瀧口:ではここで、今一度鎌田さんのプロフィールを簡単にご紹介したいと思います。
1961年生まれ。東京大学在学中にソフトウェアのベンチャー企業「ACCESS」を創業。世界初の携帯電話向けウェブブラウザを開発。2001年東証マザーズ上場。2011年代表取締役を退任の後、ベンチャー支援を行うTomyKを設立されました。

在学中に創業された会社で作ってらっしゃった、携帯電話向けのウェブブラウザというのはNTTドコモのiモードでも使われていたものなんですよね。

鎌田:そうですね。当時、docomoさんと一緒にやりましたし、皆さんメールをよくお使いになっていたと思うんですけれども、ほぼ日本中の携帯に我々のソフトはのっていましたので、そういう意味では非常に急成長できたと。

奥平:その頃は、まさに日本の携帯産業を世界中が注目していたという時代ですよね。ちょうど、スマートフォンの前ですから。

鎌田:そうですね。フィーチャーフォンをスマートにしていた、そういう時代ですよね。

瀧口:しかもこんなに身近なところに鎌田さんの技術が入っていたというところが驚きなんですけれども。そして鎌田さん、現在のご活動の中で、東大の人気講座「アントレプレナー道場」の看板講師というものがありますが、こちらはどういった活動なんでしょうか?