HDMI端子対応テレビに専用ケーブルで繋げるだけで、簡単にテレビ画面でコンテンツを視聴できるAmazon Fire TV、Amazon Fire TV Stick。動画配信サービス「Paravi(パラビ)」は両デバイス(第2世代以降)に対応。つまり、これらを使えばParaviの様々なコンテンツを大画面で楽しめる。

Amazon Fire TV、Amazon Fire TV Stickを利用すれば、Amazon Prime Video、Netflix、Hulu、AbemaTV、DAZNなどといったコンテンツも大画面上で視聴することができ、国内でも徐々に認知されつつあるデバイスと言える。このデバイス普及の現状や楽しみ方について、アマゾンジャパン合同会社 Amazon デバイス Fire TV 事業部 事業部長 橘宏至氏に聞いた。

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――Amazon Fire TV、Amazon Fire TV Stickの日本での普及状況はどのように捉えていらっしゃいますか?

大変ご好評をいただいています。Amazon Prime Videoや、Netflix、Huluなどといったサービスが揃い、パラダイムシフトが起こっていると感じます。こういったサービスを通して観られるコンテンツの充実と、デバイスの進化。その両輪だと思っていますので、我々としても「使い勝手がいいね」と思ってもらえるようなデバイスを引き続き作っていきたいと思っています。

――Amazonさんの本社のあるアメリカの普及状況と比べると、いかがでしょうか?

アメリカの視聴者はもともと、ケーブルテレビに加入して「お金を払って視聴する」という習慣があるので、テレビにお金を払うことに抵抗がありません。ストリーミングによりそれが「簡単になった」という感覚で視聴しています。一方、日本では無料でテレビが観られるという環境が当たり前だったので、(Fire TVは)いっとき伸び悩んだのですが、今年に入って変わってきた印象があります。

――Fire TVやFire TV Stick上ではどんなアプリが人気ですか?

実はAmazon .co.jpで、2018年上半期によく利用されたアプリのランキングを出しています。こちらをご覧いただくと、人気のアプリがわかるようになっています。
(※「Amazonランキング大賞2018上半期」のFire TV アプリランキング。集計期間は2017年11月13日~2018年4月30日。1位がNetflix、2位がFirefox for Fire TV、3位がPrime Photos、4位がAbemaTV、5位がHuluとなっている。)
意外だったのは、Amazon プライムフォトが上位にきたことです。動画コンテンツ系のアプリについては、おおよそ世間の動向とシンクロしているかなと思いますので、世間でのトレンドと乖離がないということは安心しています。

――動画コンテンツとしては、今後どういういった内容のものがあると良いとお考えですか?

それぞれのパートナーさんごとに強みがありますから、その強みを生かしたコンテンツが増えて、お客様の選択肢が広がるとよいなと思っています。ただ、我々のサービス自体の市民権はまだまだだと思いますので、こちらから「こういうものを作ってほしい」と伝えるよりは、パートナーさんと相談させていただきながら、というスタンスです。

――今後の展開拡大を期待するアプリ、サービスはありますか?

まさにParaviさんです。テレビに向かう時間は1日の中で限られていますよね。その中で、その時間に流れている番組を観るか、好きな番組を観るか。視聴者は、Amazon  Prime Videoや各社のアプリも含め、自分の好きなコンテンツが観られるということを認識し始めている段階だと思います。そんな中でParaviさんのような地上波の見逃し配信やアーカイブという形態は、地上波と共存できている面白い形態だと思います。モバイルやPCで観ていた見逃し配信が、テレビのような大画面でも観られるようになると良いですよね。そこをやっていただけるのは大変ありがたいです。

――ざっとコンテンツをご覧になって、Paraviの強みはどこだと感じましたか?

網羅性、セレクションの広さです。やはり地上波で展開してきたコンテンツというのは、多くの方が目にしているものですよね。そういったコンテンツを、幅広く、「もう一回観られるんだ」と思えるのはメリットです。また、Paraviオリジナルコンテンツも今後ブーストになると思います。

――スマートフォンでの動画視聴と、ストリーミング・デバイスでの視聴、それぞれのデバイスでの視聴の特徴についてはどのように捉えていますか?

後者の方が、圧倒的に視聴時間が長いですよね。スマートフォンでの視聴は移動時間など隙間時間には相性が良いですが、リビングルームで落ち着いて観たいものは、ぜひストリーミング・デバイスで観ていただきたいです。その点は我々が提供できるバリューだと思っています。

――動画配信サービス、全体の行方はいかがでしょうか?

もっともっと大きくなると思います。地上波、衛星波と共存しながら、よりお客様への選択肢が広がり、その人に合ったコンテンツをより選びやすくする仕組みができれば良いなと思っています。
弊社としてはコンテンツのお薦めの精度をあげようとしていて、Amazon Prime Video 内で「これを観た方には、これがおすすめ」と試験的に運用しています。自分のライフスタイルに合わせて選んでいただけるように、そしてそのセレクションがますます増えていったら良いですね。

――ちなみに、御社の中で各国の動向などを共有することもあるのでしょうか?

はい、グローバルで共有しています。国によって課題が異なり、日本はまだまだこれからという位置付けですが、ドイツは日本に近いと比較されることが多いです。メインの言語が英語ではない言語で、地上波も充実している、というところが共通点です。

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――Amazon Fire TV、Amazon Fire TV Stickとしての今後の展開はいかがでしょうか?

まずはFire TVでできることの認知度をあげることです。2015年に発売開始して以来、まだまだ「Fire TVで何ができるか」ということを浸透させていかなければいけない段階だと思っています。
そのためには、一つはすでにAmazonアカウントをお持ちのお客様で、まだFire TVを使っていない方への認知です。特にAmazonプライム会員に加入済みの方は追加料金なしでAmazon Prime Videoのコンテンツを楽しめますから。
もう一つはAmazonのカスタマー以外の方で、大きいテレビで様々なコンテンツを楽しみたいという方への認知ですね。「Fire TVはPrime Videoしか観られない?」と思っていらっしゃる方もいるので、敢えて他社さんのサービスを押し出して告知することもあります。例えばDAZNさんとプロ野球の交流戦を盛り上げるように、外部のパートナーさんと一緒にプロモーションをする機会も多くあります。
自社の「簡単に観られる」というユーザーエクスペリエンスを強みに、一つでも多くのパートナーさんと相談しながらセレクションを増やし、「ここに来たら、これが観られるんだ」という選択肢を一つでも多く、「(この番組は)ないんだ」ということを減らしていきたいですね。

(C)Paravi