奥平:便利だということはよくわかったのですが、原さんは、プラスアルファ普及した要因というのはどういった理由があると見ていらっしゃいますか。

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原:私が感じたのは、その先にあるサービスが便利、その一言につきるかなと思います。そのサービスを使うというところで、例えば自転車であったりとか、ランチの宅配であったりとか、例えばお金の一部を自動的に投資に回すとか。そういったサービスが先にあって、それを使うためにこういったスマートフォンで決済をするという。順番として正しいというか、どうしても日本でキャッシュレスを語られる時は、キャッシュレス化をどうするかみたいな議論が先に来るんですが、そうではなく、中国は極めて自然で、便利なサービスがあって、それを使うためにキャッシュレスでアプローチをするという感じが私はしました。

奥平:日本は、たしかにキャッシュレスという目標を国としても立ててますけど、現金を無くすことが第一目的になってしまって、むしろそれは副次的なものであって。

原:本来はそうあるはずだと思うんですけどね。

青柳:キャッシュレスによって何ができるようになるかということが増えていくと、キャッシュレスにしていこうというように、人々が現金ではなくて、新しいお財布を使おうというふうになっていくと思います。

瀧口:利用者の視点からですと、キャッシュレスにしたいというよりは、このサービスを使いたいということが先に来るな、ということをお話伺ってて思いますね。

原:スーパーとか、生活に密接なサービス、そこにもっと早く便利なサービスが下りてこないと、なかなかスマートフォンを使ってということにはならないのかなと。これがインターネット上だけのことであれば、なかなか年配の方等は、バーチャルな生活よりリアルの生活が大事ですから。そうすると一気にスマートフォンを使ってというふうになっていくかもしれないですね。

瀧口:青柳さんは、実際にメルペイでどういうふうにやっていこうというビジョンをお持ちですか。

奥平:中国の話をずいぶん伺ったので、日本では何をなさるんでしょう?

青柳:中国を参考にしながら、日本には日本ならではの様々なチャレンジがあるなというふうに思っています。まずはキャッシュレスのところで不安を感じられているお客様に、安心で安全な決済であるということを理解していただくというところが出発点かなと思っています。これまでお話させていただいているように、ペイメントというのはあくまで流れる水のようなもので、これが入り口かなと思っています。メルペイとしては決済の先に新しいウォレットの先にどんなサービスが作ることができるのか、描いていけるのか、というところがより重要なのかと考えています。

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原:メルペイは自分たちでいろいろなサービスを作っていくのですか?

青柳:そういう意味では、自分たちだけでできることは限りがあるかなと思っています。中国がすごいのは、アリババとテンセントがどんどん競争をして、それぞれがQRコードをいろんなところに置いていくことで、一社ではきっと成し遂げられなかった、数年間での圧倒的な普及というものが実現しているので、我々も一つの事業者としてどんどん盛り立てていくと。キャッシュレスというのは、たぶん一社だけでは実現しないんじゃないかなと。社会の動きになって初めて実現するのかなというふうに思っています。キャッシュレスが実現していく過程において、スマートフォンでのウォレットと結びついたサービスというのは、我々も手掛けていきますが、他の会社さんでも使えるように連携していくことで、サービスの魅力を高めてくれることが必要かなと思います。例えば、こちらもWeChatなんですが、お金を貯めておくという資産運用のサービスです。なんとこちら、年間の利回りが4%の真ん中から後半ぐらいのサービスをテンセントが提供しています。

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奥平:テンセントが、自社でやっている?

青柳:テンセントのグループ会社がやっています。

奥平:なるほど。

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青柳:銀行の口座に置いておいても、そんなに利率がつかないんですが、テンセントが金融商品を開発して、こちらのウォレットにお金を置いておけば簡単に運用ができるというサービスが、これもWeChatペイの画面からワンタップで行けるというような形になっています。他にも、左下のチャリティ。これは寄付のサービスなんですけれど、社会に対して良いこと、教育支援や医療支援、貧困問題についてといったところで、こういうサービス、寄付に対して簡単にこの画面上でできる。それからこの、公共料金ですね。ユーティリティというところを見ると、水道、電気、ガス、電話、スマートフォンなど、こういったサービスの支払いというのも、銀行振り込みやコンビニ支払いのようなところにあるものも、簡単にスマートフォンの上ですべて管理できる。こういう様々な便利さ。

奥平:こういう世界を日本でも実現していきたいと。

青柳:はい。これは実現すべきかなと思っています。

奥平:日本も、数年間で景色を一変できますか?

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青柳:したいですね。特に2020年オリンピックの年で、そこまでに、この国にまだまだいろいろなサービスや産業が新しく生まれていく、というものを仕込んでいかなければいけないんだろうなという思いがあります。これに5年10年をかけるというよりはその時までに、2020年以降の成長というものの基盤になる社会を作り上げていきたいと思います。

奥平:相当ペイメント方面は話題豊富なんで、今後、動きがあると思います。

青柳:面白いですよね。

奥平:継続的に見ていきたいと思いますので、ぜひまたお話を聞かせてください。

青柳:ありがとうございます。

瀧口:青柳さん、原さん、ありがとうございました。さて、次回は東京大学の人気講座、アントレプレナー道場の看板講師であり、自らエンジェル投資家としてテクノロジースタートアップ企業を支援する鎌田富久さんをお招きして、『変わるイマドキ東大生のキャリア観』をお送りします。どうぞお楽しみに。

(C)Paravi