瀧口:青柳さんはアメリカでの生活が長いと思うんですが、アメリカと上海の違いというのはどこだと思いますか?

青柳:アメリカはアメリカで、例えば自動運転やウーバーなど、そういったサービスがどんどん出てくるのを2010年代に見てきて、進化が早いなと思いましたし、BtoBのサービスはどんどん出てくるなと思ったんですが、中国に関して言うと、新しい金融サービス、そこからリアルなリテールのサービスみたいな新しいものが出てきていて、またシリコンバレーとは違った変化をとげてきているのが面白いところで。スマートフォンをベースにいろんなお客様に新しいサービスを展開するというのは、サービスの数も規模も中国が圧倒しているかなと思います。

奥平:シリコンバレーはご存知のように、非常にみんな試してみようという文化があって。アイデアがあったら試し、その中からいいものがあれば生き残っていくという自由競争的な世界だと思うんです。中国はその競争環境、特に規制の部分も含めて、どういうふうになっていて、なぜこういうものが出てくるのか。その辺りはどう見ていますか?

青柳:一般的にも言われるところですが、中国はいろいろなサービスの初期段階においては、規制がかからず寛容。自転車のサービスについても至るところに自転車が最初は置かれていて、通行の邪魔だったり。

奥平:それ私も去年見ました。深センで。

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青柳:そういう形でいろんなプレーヤーが投資をして、しかも最初は黄色とオレンジだけじゃなくて、いろんなカラフルな自転車が置いてあったんですが、そこから少しずつ、この自転車はちゃんと動かして、しかるべき場所に整理していかなければならないとか、自転車がどんどん壊れるので、どう管理しようかというふうに発達していって、その中で社会と一緒にルールを作りながら、産業ができていくと。

奥平:日本だと規制緩和でサンドボックスみたいな、そこだけ規制を緩くして自由にやらせようという動きがありますけど、ある意味国自体がサンドボックスみたいな。

青柳:特にいくつかの都市間の競争みたいなものが中国ではダイナミックに行われていて、いくつかの地域、特に上海ですとか、深センのような地域がリードしていると。

奥平:話が前後しますが、メルペイっていうのは、フリマアプリのメルカリの子会社ってことですよね。

青柳:そうですね。メルカリのグループ会社です。

奥平:もちろん、スマホ決済は便利な世界という現実はあると思うんですが、それをメルカリのグループがお手本にするというのは、どういう将来像からの逆算しての現在なんですか?

青柳:メルカリは、これまで物と物のやり取りというものをお助けするような、マーケットプレイスを運営していました。物と物のやり取りをどんどん動かしていく中で、物の動きには必ずお金の動きが伴っていくことがわかります。その物をいろんな方がシェアする、シェアリングエコノミーのようなものを推進していくためにも、金融のサービスを手掛けていくことで、そういった社会をより早く実現していこうと考えたのが入り口です。

奥平:アリババがECからアリペイ決済に来たように、同じような流れがもしかしたら今後あり得るかもしれないと。

青柳:そうですね。コマースと決済というのは、切っても切れない関係にあると思いまして。まずはコマースを使っているメルカリのお客様、というのがきっかけになると思うんですが、そこから新しいキャッシュレスの社会というのを、メルペイとして実現していきたいと考えています。

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奥平:日本もモバイル決済というと、おサイフケータイというものが歴史としてあるんですけど、スマホになることで何が変わるんですか?
青柳:体験が変わると思います。今までだと、どうしても現金があって、現金でないと支払えないようなお店があったり、クレジットカードというものがあって支払いをするということだったんですが、中国を見ていただきますと、ありとあらゆる店舗に簡単にQRコードが貼ってあるだけで決済ができる。そういうことによって、皆さんも中国へ行くと現金は持たずに済むんです。そうすると皆さんがスマートフォンをベースに、様々なサービスを使うということになり、今までなかったようなサービスも出てくると思います。普通に物を買うというだけではなく、自転車とか、新しい無人のコンビニとか、いろんな無人のサービスへと広がっていくんじゃないかと。

奥平:波及効果というか裾野の広さというか、社会に対するインパクトがガラケー、おサイフケータイより、各段に大きくなっていると。

青柳:単に新しい決済手段が出たということだけではない。それだと今までいろいろな事業者さんが取り組んでこられたことと、大きくは変わらないかなと。キャッシュレスというところで、前進させるものがあると。やはりスマートフォンだけになることで、新しいサービスが出てくるということが一番大きな可能性だと思います。

瀧口:ということで、次回は青柳さんに、日本での事業展開について詳しく伺っていきます。そして日経フィンテックの原編集長にも加わっていただき、日本がキャッシュレス社会に向かうための条件について伺っていきます。青柳さん、どうもありがとうございました。

青柳・奥平:ありがとうございました。

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