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<5G競争 リードするのは?>

瀧口:それでは、続いてのキーワードにまいりたいと思います。『5G競争 リードするのは?』というテーマなんですが。ずばり、どの国がリードしていくかということを伺っていきたいと思うんですが。

瀧口:小池さん、やはりアメリカが先頭を行ってると思うんですが、ライバルのドイツ、中国、韓国、そして日本というところで、どのようにご覧になっていますか?

小池:二つの側面を考えるということを、僕はいつもしています。一つは技術競争の部分、もう一つはサービス開発の競争。

奥平:技術とサービス。

小池:技術の方は5Gと、放送のいろんな事業も含めて、日本は常に先頭グループの中を走っている。5Gで言えば、アメリカ、中国にべったりくっついて、ドイツ、日本、韓国という先頭集団ができている、というのは間違いない。問題はサービス開発の方なんです。サービス開発は、非常にアメリカと中国が先行しつつある。それになかなか追いつけないのが、日本、韓国というところじゃないかなという感じです。やはり、アメリカにとって今、サービス開発面で一番怖いのは、中国ですね。実際、ネットサービスとか、自動運転車を使ったデリバリーサービスの実験などでいうと、アメリカ人の発想よりも良いというか、上回った内容を実際にやっていますんでね。だから、そういう意味では中国怖いっていうのが、アメリカの業界の関係者の、率直な意見じゃないかなと。

奥平:津坂さんは、いかがですか。その海外の状況を見ておられると思うんですけど、5Gをめぐる競争の行方というのは。

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津坂:各国によって事情が違うので、5Gをやるモチベーションが全然違うような気がするんですよね。アメリカは、今おっしゃったように、どんどんアプリケーションやIoTが出てきていたりするので、どんどん産業の方にも向いていますけど。一番最初にアメリカで5Gの議論が始まったのはフィクスド・ワイヤレスと言って、ブロードバンドをワイヤレス化しようという、非常にプリミティブな、そんなことやってどうするのかな、というところから始まったんですけど、議論の発展が早いので、どんどんアプリケーション側に落ちてきてる。だからアメリカの動きが非常に早く見えるというのが、僕の印象ですね。
日本には技術はすでにある。総務省も非常にアクティブに5Gの周波数を割り当てようと頑張っていらっしゃるというところがあって、日本が得意な技術とインフラというのはできてるんだけど、小池さんがおっしゃってるように、じゃあアプリケーションはどこにあるの、というところで、熱があんまり伝わってこないような感じが産業界からはするんですよね。例えば自動運転とかいろんなことがあって、いろんなところで実験があるんですけど、日本がリードしているという感覚はニュースフロー見ていても、あまり持てないんですよね。ですからそういう意味では、アプリケーションをどんどん日本で開発していく動きがないと、5Gで4Kや8Kが見れたらいいね、くらいで終わってしまったら、さみしいものになるんじゃないかなという危機感は持ってます。

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瀧口:小林さんはいかがでしょうか。5Gを官民一体となって推進していかなければいけないところだと思うんですが、今の津坂さんのお話を受けて、いかがでしたか。

小林:いろいろ厳しいご意見もあったと思います。そういう意味では得意分野と苦手分野があると思っていまして。5Gというのは、さっき言ったような三つのポイントですね。実は大きくゲームが変わるんですよ。やはりエッジ側にチャンスがやってくるということで、日本として得意なモノづくりのエッジの部分、まさにセンサーだったり、カメラ。これはAIが脳みそだとして、センサーやカメラは目ですから、そこに神経伝達系がつながって、ここの神経がすごく速くなりますというのが5Gです。というふうになると、エッジ側の特徴を持っている日本にとって、ものすごいチャンスがやってくると思うんです。
あとはやはり危機感、熱量がどうかというのは、これも実はゲームチェンジのチャンスがあると思ってまして、それは人口減少なんですよね。とにかく人が減っていく。人手不足になる、じゃあ過疎地をどうするかといった問題。それには産業を効率化しなきゃ、と。これはソフトウェアやクラウド系のバーチャルなサービスではなくて、本当に今のリアルな産業全てをバージョンアップする。こういうモチベーションは全国各地で熱いですから、そういう人達が組めるチャンスを私たちがたくさん作っていくことができれば、十分チャンスはあると思っています。
一点だけちょっと知っておいていただきたいのが、IoTと言われる随分前から、コマツさんの建設機械は、海外で自動で動いてたんですね。そういう意味では、そういうサービスも実際動いているという事例がありますから、日本は既存産業をバージョンアップするというリアルな世界で勝ちに行く、ということが重要かなと。

奥平:最後に一つだけ。自動運転に関して取材をしていると、役所の枠組みは通信は総務省、車の産業は経済産業省、道路関連になると国土交通省。枠組みが違いますよね。結構民間の事業者はやりづらいというところがあるんですが、デジタルの戦略作り、日本はどうするんですか。

小林:これはよくご指摘をいただくところで、省庁の縦割りがあるんじゃないかということですが、もともとそれを乗り越えるために、IT本部というものを作って2002年からやってきていますので。ここをしっかりと強化しながら、政治がしっかり主導権をにぎって、リーダーシップを発揮するのが重要なので、我々政治の頑張りどころと思って、頑張っていきたいと思います。

瀧口:まだまだお話を伺っていきたいところですが、お時間が来てしまいました。小林さん、津坂さん、小池さん、ありがとうございました。

全員:ありがとうございました。

瀧口:次回のテーマは人工知能、AIです。AI研究の最前線で活躍する、東京大学の特任准教授、松尾豊さんと経済学者で大阪大学准教授の安田洋祐さんという、異色の組み合わせでお送りします。AIは私たちの敵か味方か、徹底議論します。奥平さん、楽しみですね。

奥平:旬な話題ですからね。

瀧口:徹底的に伺っていきたいと思います。それではまたお会いしましょう。