瀧口:すべてがリモートで操作できるようになってくるということでしょうか?

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小林:そうですね。もう一つは先ほど言っていただいたように、多数同時接続というのも結構大きくて。今まではNTTの一つの基地局で数個しかつながることができなかったんですが、これが100個同時につながるようになると、あらゆるものが通信し始める。屋外のイメージが強いですが、工場の中で機械同士が通信しても、ものすごい数の機械同士が高速で同時に接続するようになると、非常に効率的な運用がなされる。それとAIがつながると、AIで情報を取って処理したものが、またすぐ返ってくるということができますね。これは映像なので、スポーツ観戦、エンターテインメントも5Gで変わるんじゃないかという実験です。

奥平:工場に取材に行きますと、IoTの流れで機械をどんどんネットにつなぎましょうって動きがありますが、結構Wi-Fiを使ってたりするんですよね。Wi-Fiの代替になったり、特にその携帯端末で4K、8Kで送れるようになると、光ファイバーがいらなくなったり、置き換えになったりと、その辺の今までの技術との住み分けというか、境目がどうなっていくのかが気になるんですけど、津坂さん、どう見ればいいんですか?

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津坂:5Gの魅力というのは、当然ながら高速で低遅延。ただアプリケーションによっては遅延があまり関係ないようなものも出てくると思うんですよね。例えばリアルタイムでその場で処理をしなければいけないものなのか、遅れてきてもいいようなものなのか、そういうものによって使い分けないと、5Gとはいえ、無線を使うので、全てを5Gで使ってしまうと、本当に5Gのスペックが必要な時に、無線のリソースが無くなるということは、あり得るんじゃないかと思いますね。特に映像をたくさん送ってしまうとか。機械のセンシングデータであれば、ものすごい小さなデータなので、どれだけつないでも大丈夫というのはあるんですけど。
例えば映像などが、あまりに多く多数接続されてしまうと、5Gとはいえ、さすがにキャパシティの問題で非効率になってしまうと思うんですね。せっかく周波数がいろいろあるので、Wi-Fiの周波数はWi-Fiの周波数なりに、アプリケーションによってはそちらを使って、5Gを他のアプリケーションに優先するということもできますし。5Gひとつにまとまるということは、まずあり得ないとは思いますね。

奥平:組み合わせて相互補完して、作るようなイメージでしょうか。

津坂:ただ一つ言えるのは、5Gになると、ユーザーの環境はすべて無線になるんです。じゃあ固定はどうなるの?というと、実はすべて固定でつながっているので、固定の重要性も増してくるんですね。ですから、ネットワーク全体の付加価値が上がると考えた方がいいのかなという感じはしますね。

瀧口:どんどんIoT化が進んでいくと、街全体もIoT化されて、スマートシティというようなものになるんじゃないかと言われてますけど、アメリカですとミズーリ州、カンザスシティですでに実装実験も行われているということですが、今後、日本ではどうなんでしょうか。

小林:一番言われているのが自動運転だと思うんですが、自動車自体にセンサーを積んでやるというのは、もちろん価値があると思います。それをどんどん進めていけばいいのですが、これを補足する上で、例えば道路と通信をするとか、人が持っている何かデバイスと車が通信をすることで、見通しのよくない場所にいるけれど、そろそろ人が出てくるよということが分かったりとか。こういう形で、街づくり全体と通信が一体になるということが結構重要で、どんどん効率化が進められるというメリットがあると思いますから、そこをチャンスにして向かっていきたいと思います。

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瀧口:小池さん。

小池:はい。

奥平:日本はスマートシティのプロジェクトはキャリアも入ってやっていますけど、アメリカもキャリアの役割は大きいんですか?

小池 大きいです。

奥平:アメリカのキャリアでいうと、最近のニュースでは、少し業界再編っぽい話なんですが、スプリントとTモバイルが二度ですかね、統合する統合すると言ってうまく行かず、また今回、三度目の正直になるかどうか、注目を浴びていますけど。この辺りの状況について、小池さんは今後の行方をどう見ていらっしゃいますか?

小池:過去二回、合意したくてもできなかったということがありまして。基本的に、今、四社体制で98.5%ぐらい加入者ベースで寡占状態になっているんです。普通の考え方だと、四社が三社になるというのは、ユーザーにとってはデメリットが大きいだろうという形なんですけどね。過去二回は、ニュースが出た段階で政府の担当者が難色を示し、サインを出してたんです。

奥平:数が減ると、やはり競争が無くなってしまうということですね。

小池:そうですね。たぶん合併、経営統合の認可が下りない、というサインを出していたんですね。

奥平:それで、結局あきらめたわけですよね。

小池:そうです。ところが今回はその兆候が無いというのが、ちょっと違うんですよね。だから僕自身も、非常に悩んでる。過去二回とは、ちょっと今回はシチュエーションが違うなと。ひょっとしたらという気持ちが、少し芽生えているというのはあると思いますね。