奥平:問題はこの3つ(NTTドコモ、KDDIグループ、ソフトバンクグループ)で、あまりにもここのところMVNOが増えた分ちょっと減ってるんでしょうけど、3社が大体横並びという状況が続いてますよね。

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小林:こういう状況の中、MNO(移動体通信業者)もここまで伸びてきた。そしていろいろお話を聞くと、MNOとMVNOの関係の中で、もうちょっと競争をフェアにできないかという論点が浮上しています。あとはやはりMNO同士で2年縛りの契約や、MNPのやりやすさなど、いろんな問題点が上がってきたので、今回、検討会を開いて、とにかく全部市場に上げて、もう一度フェアな競争関係を作って、次のステージに移るということをやりたいということでスタートしたと。

<ケータイ再編 何が変わる?>

瀧口:楽天以外の企業でも、第4のキャリアとして名乗りを上げるという動きもあったと思うんですが、どうして楽天が選ばれたのかというところが気になります。どういった経緯があったのでしょう?

小林:これは、防衛省が持っていた公共の電波帯ですね。使いやすいところを開放しますということで、4枠ちょうどできますということだったのですが、公募の中で手を挙げられたのが、実は4社だけだったんですね。もし他社さんが来ればそこに競争があって、また今後も割り当てがありますから、もしそういう方が来られれば、そこの中で競争が起こるという形になってきます。

奥平:ここのところ、業界の動きとして非常に大きかったのが楽天参入と、もうひとつが先程おっしゃっていただいた、モバイル市場の公正競争促進に関する検討会。このふたつの関係は、そもそもどう見ればいいのでしょう?

小林:もともと、その公正競争の会議体の方が、先に企画されて立ち上がっていたんですね。一方で平行して、防衛省が持っている公共の電波を民間に開放しますという形で決まっていたものに、楽天さんが入ってくることがわかったんです。実は、まったくの別ラインで動いていました。こちらの公正競争の会議で議論したのは、3キャリアとMVNOというマーケットの中で、どうやるかということでした。そこで楽天さんが新たに入ってくるんですが、ここで出た結論を、もちろん楽天さんにも適用していただくという形になります。

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奥平:まず先にあったその検討会の、ポイントをまとめていただいているんですよね。3つありますけど、ちょっと簡単に説明していただいてもいいですか。

小林:はい。この3つなんですが、1つ目のネットワーク提供条件の同等性というのは、最初に話題になったのはこのMNOとMVNOの関係です。

奧平:MNOはドコモ・KDDI・ソフトバンク、回線を持っている会社ですね。MVNOは、回線を借りている会社ということですね。

小林:その3社から、借りている会社ということですね。その中で、とにかくMVNO同士の中でも、もうやたらと速い通信会社と、お昼になるとひっ迫してしまい遅くなる会社があると。そういう会社さんから、いわゆるサブブランドと呼ばれる、KDDIさんにとってはUQモバイル、ソフトバンクさんにとってはYモバイルのような、グループ内のMVNOさんにすごく優遇してるんじゃないかと。

奥平:えこひいきしてるんじゃないか、という。

小林:そういう話が上がったんですね。これは検討会の、ヒアリングで出てきた話なんですが。

奥平:それは、総務省がそう思ったんですか?

小林:いえ、そういうことではなく。立ち上がりのところで先程も申し上げましたが、事業者さんにお話をきいてみると、いろんなMVNOが立ち上がってくる中で、様々なご不満がたまっているんです。

奥平:事業者さんの中で、そういう不満があったと。

小林:そうなんです。それぞれの関係の中でご不満があったので、じゃあ一度、表のテーブルにぜんぶ出しませんかと言って機会を作ったんですね。それがこの、検討会だったんです。出してみて、一番最初にMVNOさんが言ったのは、えこひいきがあるんじゃないかということでした。じゃあ、それを確認してみましょうということで。事実を申し上げると、実際には、えこひいきはなかったと。

奥平:じゃあ、これはシロだったと。

小林:そうですね。ただ、速さについては、もちろん通信回線を借りてますから、速くするにはたくさんお金を払って、たくさん借りるわけです。そうすると余裕ができる。それができるのは、実はサブブランドとキャリアの間で、サブブランドが持っている電波もあるんですよ。UQさんの場合は、UQ自体も持っている。それをKDDIが借りてもう一回UQさんに貸すということをやっていると、ここでお金がぐるぐる回り、いわゆる「ミルク補給」という形でお金を注入しているんじゃないですか、という話が出てきたわけです。それに関してはきちんと事実を確認しましょうということで、基本的にえこひいきは無かったということはわかりました。2つ目はですね、これはぜひ聞いてみたいと思うんですが、日本で中古端末というものを見たことありますか?

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瀧口:身近にはないですね。

奥平:海外だと、アメリカなどはキャリアのホームページから買えたりしますよね。

小林:そうなんです。海外は中古端末が流通してるのですが、国内はなかなか流通してないんですね。これにはいくつかポイントがあって、ひとつはキャリアさんが、買い替えるときに持って帰っていただけると、ポイントでバックします、という話で。ある種、下取りをしていただける、この金額は結構大きい。もうひとつは、国内で中古端末を流通させようと思うと、正規の部品をちゃんと手に入れて修理会社が修理をしなければいけないのですが、なかなか正規の部品がメーカーから出てこないという問題があり、あまり流通しなかったわけです。そうするとどうなるかというと、契約時、端末と回線がセットとなります。そうすると、料金サービスが非常に固定的になりますし、キャリアも動きづらいということになります。それを解消しようということで、中古端末を流通できる形をとったというのが2点目です。3つ目、これがいわゆる2年縛りというものですね。契約をして、2年後に更改をするときにここで止めます、24か月、25か月で止めますと言ったら、違約金無しで止められるわけですけど、その時期が非常にわかりづらいとか、プラス1か月、どうしても利用料金払わなければいけないので。

奥平:2年縛りはずっと議論になっていて、事前にちゃんとメールでお知らせをしましょうだとか、無料で解約をできる期間を長くしましょうとかキャリアがやってきたと思うんですけど、今までの取り組みではまだ不十分ということですか?

小林:そうですね。かなり改善はしていただいたのですが、それでも消費者にとって分かりづらいということがあるので、ここはきちっと合わせていただくと。

奥平:2018年6月6日に行政指導出されましたけど、それはこれに基づいてということでいいですか?

小林:そうですね。かなり早い段階で対応させていただきましたけど、行政指導を出させていただいて、きちっとやっていただくと。ここの中にはMNPの円滑な利用というのも入っていて、今だと窓口に行くか、コールセンターに電話しないと番号の振り替えはやってもらえないんですね。でもそれをインターネットで、ホームページなどで、スマホからできれば、自分ですぐ出せるわけです。それをコールセンターに電話すると、ちょっと長くいろんなご説明があったり、引き止めがあったりして動きづらいというのがあったので、そこはもう自分でやれるようにしませんか、というのもあり、これでフェアな形でできるんじゃないかということですね。

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奥平:なるほど。津坂さんは、競争促進の3つの柱について、効果をどう見られますか?

津坂:まず、1と2はね、これMVNO事業者の怠慢ですよね。

全員:あははは(笑)。

津坂:正直に言えば。なぜかというと、ネットワークが遅い、相手は速いと。じゃあもっとネットワークを買えば速くなるでしょ、っていう非常に単純なビジネスモデルなんだけれども、それをやらずに、キャリアのサブブランドだから優遇を得てるんじゃないのみたいな、そういう、何て言うんですかね。自分は非常に安い料金を出したいからすごいケチなオペレーションをしてるくせに、高い金額を払ってきちんとしたクオリティーを提供している事業者を名指しで、これはおかしいんじゃないかっていうふうにクレームをつけてる。なんか、MVNOがクレーマー会社に。

奥平:おそらくMVNOの方から相当反論があるかと思いますので、次回来てもらいましょう(笑)。

小林:でも、これは本当にそうです。

津坂:2番目も、まったくそう。日本の通信キャリアは自分たちの財務力と努力できちんとした端末のラインアップをたくさん揃えてビジネスをやってますと。MVNO事業者さんは財務的なその体力がないので、どうしても提供できる端末が少なくなっちゃうと。

奥平:人気端末が、なかったり。

津坂:人気端末がなかったりする。じゃあ、頑張って調達すればって感じにはなるんですよね。だけどそれができないから、それでも安くサービスしないと生き延びられないからどうにか中古端末流通できませんかね、と言っているようなもので。僕は、1と2は、MVNO事業者のけっこう怠慢な部分というか、安いからしょうがないという。誤解のないようにいうと、津坂家はぜんぶ、MVNOなので。

全員:あはははは(笑)。

津坂:うちは使っているので、悪いところもぜんぶわかって発言させていただいてる。

奥平:なるほど。

津坂:3番目はね。これはMNOの怠慢ですよね。

奥平:3キャリアですね。

津坂:3キャリアぜんぶだめ。いまだに2年で縛ってるっていうのは、結構端末とサービスの分離が進んでるっていうのに、2年で縛りたいっていうのはキャリアの都合ですね。これはキャリアの怠慢じゃないですかね。

奥平:これ、行政指導が出されて、2年縛りというのは完全になくなるんですか?可能性としては。

小林:これはきちっと対応いただけるものだというふうに思っています。行政指導というのは結構厳しい指導ですから、ここは3キャリアに対応いただきたいということで。本当にバッサリ斬っていただきましたけれども、趣旨はこういうことでして、まさにそれぞれの関係の中で、おかしいんじゃないかと思い込んでいるところもあったり、これ何とかしてくれよと思っていたり、お互いの関係の中で止められないものがあったりっていうのをぜんぶ出していただいて、一度今回、整理しますから。ですので、そろそろ次のステージの競争に行っていただきたいというのが、我々としての一番の思いで。そういう意味では小さな話から大きな話まで、ぜんぶやっています。