<医療データ活用への期待>

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瀧口:三方よし、という感じがしますね。原さんの会社でつい先日、三菱商事などから資金調達を行ったというふうに聞いてますけれども、新しい事業に対する周りの反応というのは、どうなのでしょう?

原:やはり大きな期待感を持っていただいているというのは、私もひしひしと感じているところです。オンラインで何かできるようになるというのは、医療以外のどの世界でも起きてきていることだと思うんですよね。カニもオンラインで買うし、保険もオンラインで買うといったように。医療だけが例外ではないだろうと思っていて、当然そこには大きな可能性があると。そういうところでいろいろな方々からも期待をいただいて。それに応えるべく、我々も事業を広げていっているというところです。

奥平:三菱商事とは、具体的にプロジェクトは進んでいきそうなんですか?

原:そうですね。今回の増資に関しては、我々の医療、特にいろんな医療データを活用した取り組みというところで、我々自身は特に何かデータを持っているわけではないのですが、そこにアクセスをいただいた方々とご一緒させていただいておりまして。そういった方々の持っているデータと、我々が解析する技術とを組み合わせて、事業を広げていくといったような。

奥平:より活用できるデータの基盤が、大きな会社を作ることによって拡大していくような。

原:そうですね。

瀧口:解析する技術ということですが、どのようにその技術を磨いているんですか?

原:前編で申し上げた医療のデータ事業というところで、実際に様々な研究機関、大学、企業と連携して、技術的には機械学習、深層学習といったようなものを活用して解析する取り組みを、今も続けていっております。

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奥平:社内の体制としては、どうされているんですか?そのあたりの技術的な裏付けといったような。

原:機械学習を専門とする、CTOの巣籠(すごもり)という者がおりまして。社内では彼がその領域の専門家で、彼を中心とするデータサイエンティスト、エンジニアのチームを作っております。

<医師から反発は?>

瀧口:本当に、AI、データとメディカルが融合しているということがわかりますね。杉田さんはいかがでしょう、事業に対する周りの反応は。名医を紹介するというと、名医じゃないと思われた人がいるといいますか、そういった反発ではないですけれど、いろいろな反応があると思うんですが。

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杉田:医療業界からの反応としては、かなりいいです。我々が想定していた以上に良好ですね。理由としては二つあります。ひとつは今の医療制度だと、病院側も患者さんを集めるということを必死にやらないとやっていけないという中で、我々が実績のある病院に患者さんをご紹介するというところで彼らの後押しをしているということ。もうひとつは逆に、我々のところにご相談のあった軽症の患者さんに、「それは大病院ではなく、近くのかかりつけ医やクリニックに行ってください」と、オンライン上で割り振りをしているので、病院や先生方の無駄な混雑や診療が省けているというところで、良好な反応をいただいております。

奥平:もうひとつ、先程おっしゃった生命保険や健保組合の関係だと思うんですけれど、実際にそういうところとはお話をされているんですか?

杉田:実際にいくつかの保険会社さんから、サービスを提供させていただいております。

奥平:もうすでに保険会社経由で、患者さんというか加入者の方に、サービスを行っているんですね。

杉田:はい、使っていただいています。

奥平:実際にそれで、コスト削減・医療費削減の効果は出ているんですか?

杉田:提供させていただいてまだ数か月ですので、ここからというところはあるんですけれども、ご紹介した患者さんに関しては、平均の入院日数を下げることができているという実感はあります。

奥平:手ごたえは出てきていると。

杉田:はい。

奥平:もうひとつ、先程お医者さんとの関係についておっしゃいましたけど、医療に限らず、各業界で新しいテクノロジーを入れていくと、当然それによって不利益をこうむる方もいらっしゃって。インターネットは特に効率化する効果があるので、例えば病院に来てもらうことによってメリットを感じていた、お医者さんや業界団体などの反応はいかがですか?

原:オンライン診療の領域は、やはり慎重な対応を示されている方々も多くいらっしゃいます。今までの対面の診療に比べて、オンラインの診療で本当に充分な情報を取れるのか、安全性はどうなのかといった視点で、いろいろとご指摘をいただくことはあります。我々としては、ひとつの診療のかたちとして、今後長期的には必ず広がってくる領域だと思っていますので、ひとつひとつ、そういう課題に対してエビデンスを作っていく、そういう取り組みが重要なのかなと。

奥平:それなりの風圧は、感じておられるわけですね。

原:そうですね。風圧を全面に受けながら。

奥平:全面に受けながら(笑)。やはりそのあたりは、お二人で励まし合ったりしておられるんですか?

原:同じようにチャレンジしている仲間がいるというのは、励みにはなりますね。

瀧口:杉田さんは、いかがですか?

杉田:私も全く同じですね。元々理系なので、データの重要性、実証の重要性は非常に感じています。我々は、特に医療費の削減というところを謳っているのですが、アメリカのデータなどを見ると、予防医療サービスの8割は医療費削減の効果がないといったものもあるんですね。我々としては、保険会社の方々と連携をしてエビデンスを作っていき、実際に「いい医療」と「医療費の削減」は両立できるということを実証し、一気に広めたいと思っております。

奥平:医療費の削減というのは今後大きな課題になると思うんですけれど、効率化していくということは、お医者さんやその業界からすると実入りが減るという話ですよね。それに対する反発というのはあるんじゃないですか?

原:診療報酬によるところが大きいので、改定の度にそういう思いを感じておられる方もいらっしゃるんですが、それは変えられるものではないので、その中でいかに効率よく頑張っていくかというところで、みなさんやっておられるのかなと。