日経電子版、日経産業新聞と連動してイノベーティブな技術やベンチャーを深掘りする、動画配信サービス「Paravi(パラビ)」オリジナル番組の「日経TechLiveX」。PlusParaviでもテキストコンテンツとしてお届けする。

デジタル技術を駆使した遠隔診療、名医検索サイトなどの「メドテック」は、どうやって収益をあげているのか。日本の大きな課題である医療費削減へのインパクトは。新手のサービスに対する風当たりも小さくないなかで、ベンチャーを立ち上げた情報医療の原聖吾社長、クリンタルの杉田玲夢社長が、ビジネスモデルの詳細と医療効率化への期待を語る。

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瀧口:こんにちは。日経CNBCキャスターの瀧口友里奈です。そして、私と一緒に司会進行していただくのは、日本経済新聞編集委員の奥平和行さんです。奥平さん、よろしくお願いします。

奥平:よろしくお願いします。

瀧口:この番組は日経産業新聞、そして日経電子版と連動して革新的なテクノロジーや今後成長が見込まれるスタートアップ企業に迫る「日経TechLiveX」です。Paraviオリジナルコンテンツとしてお届けしています。

というわけで、今回のテーマは前回に引き続き、「起業家は医師 『メドテック』新潮流 目指せ、納得の最適医療」というテーマでお送りします。

それでは、今回のゲストをご紹介します。株式会社情報医療代表取締役の原聖吾さんです。原さん、宜しくお願いします。

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<原聖吾プロフィール>
1981年生まれ。東京大学医学部卒業後、国立国際医療センターに勤務。のちに、日本医療政策機構を経てスタンフォード大学院でMBAを取得。さらにマッキンゼーを経て、2015年に株式会社情報医療を創業。

原:よろしくお願いします。

瀧口:そしてもうお一方、株式会社クリンタル代表取締役の杉田玲夢さんです。杉田さん、よろしくお願いいたします。

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<杉田玲夢プロフィール>
1981年生まれ。東京大学医学部卒業後、東京大学付属病院で研修。国内コンサルティング会社を経て、デューク大学MBAを取得。ボストン・コンサルティンググループに入社の後、2015年に株式会社クリンタルを創業。

杉田:よろしくお願いします。

<「メドテック」スタートアップ マネタイズの仕組み>

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奥平:前回はお二人の会社のサービスについてお伺いしたのですが、今回はビジネスモデルというかマネタイズ、どうやって収益化するかをお伺いしたいんですけれども、スタートアップの世界ではマネタイズということは一般的ですが、医療業界でマネタイズというのは、声を大にして言えるんですか?

原:あまりそういう発想は、ないかもしれないですね。

奥平:ただ、スタートアップとして経営をする上では、当然そこは必要となってくるわけですよね。まず原さんのところは、オンライン診療が基盤ということですけれども、お金はどう発生する仕組みなんですか?

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原:我々のオンライン診療の仕組みは、今、いくつか業界でそういうことをやっている事業者があるんですけれども、非常にユニークなのは、医療機関からはお金を取らないで、これを使う患者ユーザーからフィーをいただくような仕組みになっています。具体的には、一回診療が発生するごとに、例えば処方箋を送る場合だったら500円を患者さんがお支払いして、我々にフィーとして払っていただく、そういう仕組みでやっております。ですので、すぐ医療機関に負担を強いるというより、これを使う患者さんが増えていくと患者さんもメリットを受けるし、我々の事業としても成長するし、医療機関としてもちゃんと患者さんを診ることができる、そういう発想でビジネスモデルを組んでいます。

奥平:なるほど。やはり医療機関からすると、初期費用がかからないというのは、利用しやすいという動きになりやすいわけですか?

原:ええ、そうだと思います。やはりまだ診療の仕方としても新しい領域なので、いきなり仕組みを導入するのに何十万円と言われてそこで足が止まってしまうよりかは、まずは使ってみて、それで患者さんに実際使っていただけるようであれば、フィーとしても、我々としても、事業としても成立していくと、そのような仕組みであると思います。

瀧口:杉田さんの事業は、マネタイズをどのようにされているんですか?

奥平:こちらの方がより難しそうですね、情報提供というところなので。

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杉田:そうですね。我々は医者と患者のマッチング、患者さんを適切なところにご紹介するということをやっておりまして、実際Web上では、一紹介あたり、患者さんから6000円いただくということもやっているんですけれども、ここが本筋ではなく、そのマッチングを通じて、医療費を下げるということを目標としています。現実には、保険会社さんや健康保険組合さんと連携し、彼らの契約者、加入者の方々にサービスを使っていただいて、よりよい病院、よりよい先生のところへ行っていただく。それによって下がった医療費から、我々はいくらかいただくと。

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奥平:なるほど。前編で、入院日数と手術件数の関係について説明がありましたけれど、生命保険会社にしても健保組合にしても、自分のところの加入者を、より効率のよいところ、サービスがよく入院日数が短いところへご紹介することができれば医療費が節約できると、そういうロジックであるという理解でよいのでしょうか?

杉田:まさにそうですね。実際に生命保険会社さんなど、一日入院1万円といった給付金などをお支払いしているので、それが例えば三日短くなるという話であると3万円、実際、会社全体でみると、年間何十億という給付金をお支払いしているので、それがいくらかでも削減できるなら、かなり大きなコスト削減になる、そういうところで連携をしています。

瀧口:お医者さんとのマッチングによって効率的に治療するということは、患者さんにとってだけではなく、保険会社にとっても、とても嬉しいことですよね。

杉田:そのとおりですね。ひいては日本の医療制度、40兆円の医療費というところにも効いてくるので、日本のヘルスケアシステムにとっても、いい話だなと思っております。